胃潰瘍の治療においては薬物療法を行っていきますが、薬物療法と一緒に普段の生活習慣を見直すことも大切となります。この記事では胃潰瘍の治療法で普段の生活習慣で気を付けて欲しいことをご紹介させていただきます。
胃潰瘍の治療において
普段の生活習慣で
意識することとは?
胃潰瘍の治療では薬物療法が効果的ではありますが、胃潰瘍の再発を防ぐためには普段の生活習慣の改善も不可欠となります。以下に、生活習慣で意識するポイントを記載しております。
バランスの良い食事
刺激の少ない食事を心がける
脂肪分の多い食品を控える
肉類などの高脂肪食は消化に時間がかかってしまいますので、胃酸の分泌量が増えてしまいます。脂っこい食べ物や揚げ物は極力避けるようにしていただき、野菜、果物、全粒穀物などを食べるようにしてください。
辛い食べ物を避ける
トウガラシなどの辛い食べ物やスパイスは胃粘膜を刺激し、胃潰瘍を悪化させる可能性があります。辛味成分などを含む食材の食べ過ぎには注意をしてください。
酸味の強い食べ物を控える
酸味が強い食べ物(柑橘類やトマトなど)は胃酸の分泌を刺激する効果がありますので、胃潰瘍が発症している方は控えるようにしてください。
食べ過ぎや夜遅い食事を避ける
一度に食べる量を減らす
一度にたくさん食べてしまうと胃に負担がかかってしまいます。1日3食はしっかり食べるようにしていただき、軽食等も極力控えるようにしてください。
夕食は早めに済ます
夜遅い時間帯で食事をしていると胃酸の分泌が増加し、胃に負担がかかってしまいます。夕食は就寝の3時間前までに済ませるように心掛けてください。
禁酒・禁煙
アルコールの影響
アルコール類は胃の粘膜を刺激し、炎症や潰瘍を引き起こすことがあります。ウイスキーなどの特に強いアルコール類は胃壁へのダメージが大きいので飲み過ぎには注意をしてください。
タバコの影響
ニコチンは胃酸の分泌を促進させ、胃の血流が減少することで粘膜の防御機能を低下させます。喫煙者は胃潰瘍のリスクが非喫煙者の2倍以上高いと言われていますので注意してください。
ストレス管理
適度な休息とリラックス
睡眠の質を高める
質の良い睡眠はストレスを軽減し、胃や腸などの消化管の健康にも効果があると言われています。毎日同じ時間に寝起きすることや適切な睡眠時間を確保することなど、睡眠環境を整えるように心掛けてください。
自身にあったリラックス方法を見つける
ヨガ、瞑想、深呼吸など、リラックスできることを見つけることも大切です。これらの方法はストレスホルモンを減少させ、結果として胃や腸などの消化管の負担軽減に繋がります。
ストレスの発散
趣味を楽しむ
趣味や好きな活動に時間を割くことでストレスに繋がります。趣味は人それぞれです。音楽を聴く、読書するなど、自身がリラックスできることを見つけることも大切です。
ソーシャルサポートの活用
家族や友人と過ごす時間もストレス発散に効果がありますので大切です。悩みを共有することでストレスを軽減できます。また、場合によってはカウンセリングを利用することも一つの方法です。
適度な運動
消化器官の健康維持
軽い有酸素運動
ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は消化器官の健康を維持し、胃潰瘍をはじめ様々な病気の予防にも役立ちます。毎日有酸素運動を行う必要はないので、週に3程度、1回30分程度の運動を継続して行うようにしましょう。
筋力トレーニング
筋力トレーニングも効果があります。適度な筋力を維持することで全身の代謝が向上し、胃腸の働きも改善することが言われています。
運動のポイント
食後の軽い運動
食後の30分〜1時間程度での軽いウォーキングは消化を助け、胃腸の健康に良い影響を与えると言われています。ただし、激しい運動は逆効果になることがありますので注意してください。
無理のない運動習慣
体調に合わせて無理のない範囲で運動を継続することが大切です。特に胃潰瘍がある場合は、医師と相談して運動習慣を検討していただければと思います。
まとめ
胃潰瘍の治療には、薬物療法に加えて生活習慣の改善も重要となります。バランスの良い食事、禁酒・禁煙、ストレス管理、適度な運動を心がけることで、胃潰瘍の治癒を促進し、胃潰瘍の再発を防ぐことができます。健康的な生活習慣を維持するために、日常生活の中でできることから少しずつ取り入れていただければと思います。
- 胃潰瘍
- 胃潰瘍の治療法とは?
関連ページ
文責:金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院
院長 中村文保