症状からある程度、疑われる疾患を絞り込むことができます。ただし、これは可能性が高いということであり、診断と適切な治療には受診が必要です。また、同じ症状を起こす疾患には早急な治療を受けないと命に関わるものもあります。
上腹部症状
症状
- 胸焼け
- ゲップがよく出る
- みぞおちの痛み
- 吐き気
- 呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)
逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、食道裂孔ヘルニアなどの消化器疾患が疑われます。
血便・黒色便
症状
- 便に血が混じる
- 黒い便(タール便)
血便・下血では鮮やかに赤い鮮血が混じる場合以外にも、赤っぽい便が出るケースや、黒くてタール状の便が出ることもあります。鮮やかな赤い血液が混じっている場合は痔や直腸疾患が、黒い便は胃など上部消化管からの出血が疑われます。ただし貧血で鉄剤を服用している場合も黒い便が出ますので、服薬していることを必ず医師に伝えてください。
痛みがない場合は、大腸がん、大腸ポリープ、痔・裂肛、憩室出血などが疑われます。
痛みがある場合は、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患、虚血性腸炎、感染性腸炎などが疑われます。
炎症や潰瘍、大腸がんなどの疾患が疑われる場合は、大腸カメラによる精密検査を行います。
また、黒い(タール便)は胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんなどの上部消化管の疾患によって症状が現れている可能性があるので胃カメラで詳しく調べます。
黄疸
症状
- 白目が黄色い
- 顔色が黄色っぽい
- 尿の色が濃い
尿の色はご自分で気付きやすいのですが、白目や顔色は周囲に指摘されてはじめて気付くことがよくあります。重大な病気の症状のサインであることが多いため、気付いたらできるだけ早く受診してください。
肝臓疾患として急性肝炎、B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんが原因で黄疸が出る可能性があります。
胆道疾患では、胆管がん、胆のうがん、胆管炎、胆石・総胆管結石があります。
膵臓疾患では、膵がん、膵炎が考えられます。
それ以外の原因では、体質性黄疸といって特に治療の必要がない黄疸もあります。
健康診断・検診・人間ドックの結果で異常・再検査を指摘された方へ
健康で症状のない方の隠れた病気を早期に発見するために行われるのが、健康診断や人間ドックです。異常や再検査の指摘は「何らかの病気の可能性がある」ということです。当院では、便潜血検査、ピロリ菌検査、胃X線検査で陽性や再検査を指摘された場合や、血液検査で肝機能の異常がわかった場合の、精密検査が可能です。深刻な病気の早期発見に役立ちます。当院では発見された消化器系の病気の専門的な治療を行っていますので、ご本人と大切なご家族の安心のためにも、お気軽にご相談ください。
文責:金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院
院長 中村文保