大腸カメラ検査について
大腸カメラ検査では、肛門から内視鏡スコープを挿入して大腸全域の粘膜を直接観察できます。当院では特殊な波長の光や拡大機能、画像処理など高度な観察が可能な内視鏡システムを導入し、微細ながんや将来がん化する可能性のある大腸ポリープの発見が可能になっています。疑わしい部分があれば組織を採取して病理検査による幅広い疾患の確定診断が可能です。また、検査中に発見された前がん病変の大腸ポリープはその場で切除する日帰り手術ができますので、将来の大腸がん予防になります。別の日にスケジュールを作る必要もありませんし、事前の下剤服用といった準備も1度ですみ、入院もしなくていいためお忙しい方でも気軽に受けられます。
大腸カメラの特徴
特徴1 苦痛や不快感を最小限にした大腸カメラ検査
当院では基本的に鎮静剤を用いてウトウト眠っているような状態の検査を行っています。痛みや不快感がほとんどないまま、リラックスした状態で検査を受けていただけます。最も負担が大きいとされるスコープの挿入時には、高度な手法である無送気軸保持短縮法を用い、体位の変更も組み合わせて最も負担の少ない挿入を実現しています。
特徴3 院内下剤に対応しています
大腸カメラ検査を受ける際に、下剤で腸をきれいにしておく必要があります。自宅で下剤を飲んでからご来院いただくこともできますが、当院では安心して大腸カメラ検査を受けていただくために院内下剤に対応しています。院内で下剤による前処置を行ったらそのまま検査が受けられます。
▼以下の項目に該当する方は院内下剤を推奨しております
・初めて大腸カメラ検査を受けるので下剤の飲み方が分からない
・下剤服用後、クリニックに向かっている際中に便意がきそうで怖い
・排便が綺麗になっているか自分では判断が分からない
・自宅には家族がいるので、自宅で下剤を飲むのが恥ずかしい
特徴4 注入法による下剤を飲まない大腸カメラ検査
下剤の服用が苦手な方のために、当院では注入法による下剤を飲まない大腸カメラ検査を行っています。
ご注意
内視鏡スコープを通じて注入する下剤は一定量になっています。そのため、便の状態によっては、追加の下剤服用が必要になるケースもあります。
また、この手法は原則的に70歳までの方を対象としています。高齢の方で注入法をご希望されている方は個別にご相談ください。高齢の方でなくても健康状態・腹部手術歴の有無によっては注入法が行えない場合もありますのでその際はどうかご理解ご了承下さい。
特徴5 高度な最新内視鏡システム
「EVIS X1」導入
内視鏡分野で長年世界をリードしてきたオリンパス社の最新モデル(2020年7月現在)である、内視鏡システム「EVIS X1」を導入しています。搭載された特殊な波長のレーザー、拡大、画像処理、デジタルハイビジョンなどによって微細な病変も容易な発見が可能です。精度の高い検査をスピーディに行えるため、患者様のお身体やお気持ちへの負担も軽減できます。
NBIなどの高度機能による精緻な検査
当院の内視鏡システムは、特殊な波長のレーザーや画像処理によって血管だけを詳細に観察できるNBIが搭載されています。通常光では発見しにくいがんでも血管を周囲に集める性質があるため、血管の分布を確認することで早期発見が可能になります。さらに、炎症の的確な診断を強力にサポートする画像処理システムや拡大機能、NBI、通常光による観察を医師が手元で簡単に切り替えられるため、微細な病変の発見に大きく役立ちます。がんを発見した場合も、質的診断と深達度診断による進行度診断により、内視鏡的治療・外科的治療など必要な治療法の判断にも役立ちます。これによって、より適切な連携高度医療機関をご紹介することができます。
大型ハイビジョン大型モニターで観察しながら検査
検査中もハイビジョン大型モニターでリアルタイムに粘膜を観察して、疑わしい部分を詳細に確認できるようにしています。拡大した場合も細部まで鮮明に観察可能ですし、映り込みや反射がないことから、短時間に精密な検査を行うことができて、患者様のお身体への負担も軽減できます。
特徴6 必要な観察時間を十分にしっかりとっています
大腸カメラ検査は、検査時間の短さをメリットとしているケースがよくありますが、海外の研究論文で大腸カメラ検査時の観察時間が6分以内の場合は有意に見逃しが多いことが指摘されています。当院でも特徴的な病変の見極めや微細な病変を発見するための丁寧で見落としの起こりにくい検査のためには、最新の高度な機器を用いても観察に8分程度、挿入も含め検査自体の所要時間は10~15分程度が必要だと考えています。そのため、当院では必要な観察時間をしっかりとっています。
特徴7 検査中に発見した大腸ポリープはその場で切除可能
大腸カメラ検査中に発見された前がん病変の大腸ポリープは、内視鏡を用いてその場で切除しています。日帰り手術ですから入院の必要もありませんし、事前の食事制限や下剤服用も1回で、検査・治療・予防ができます。
ポリープのサイズや数、形状に問題がある場合には入院による手術が必要になりますので、連携している高度医療機関をご紹介しています。
特徴8 感染を予防するため、ガイドラインに沿った洗浄・滅菌
内視鏡検査の器具も内視鏡学会で定められたガイドラインを遵守して洗浄・滅菌して感染予防に努めています。使い捨て可能なものはディスポーザブル製品を使い、そうではないものは患者様ごとに徹底的な洗浄とオートクレーブなどによって滅菌したものを使用しています。
特徴9 ストレッチャーで、横になったままの移動
鎮静剤を用いた大腸カメラ検査後には、リカバリールームでしばらくお休みいただいています。当院ではストレッチャーに横になって検査を受けていただきますので、検査室からリカバリールームに移動される際にそのままお運びしています。無理に起き上がる必要がありませんので余計な負担がなく、リラックスしたままお過ごしいただけます。
特徴10 土曜日・日曜日の大腸カメラ検査
病気の早期発見のためには一人でも多くの方に受けていただくことが重要と考えますので、当院では土曜日、日曜日(不定期)も大腸カメラを実施しております。 平日はお仕事が忙しく受診が難しい働く世代の方々にも大腸カメラを受けていただけますので、是非ご活用ください。日曜日の実施日につきましてはHP、SNSでお知らせいたします。
特徴11 朝8時(早朝)の大腸カメラ検査
当院では、朝8時からの早朝大腸カメラ検査に対応しています。いままで時間の都合が合わずに、検査を受けることを諦めていた方も安心して検査が受けられる体制を整えています。
特徴12 同日での大腸カメラ検査・胃カメラ検査を実施
当院では1日で大腸カメラ検査と胃カメラ検査の両方を受けることができます。普段お仕事や家事等でお忙しくて、医療機関に受診する時間を何度も取ることが出来ない方は、ぜひお気軽にご相談ください。
特徴13 スマート大腸カメラ検査を実施
大腸カメラ検査は事前診察と検査当日の合計で2回、クリニックにお越し頂く必要があります。お仕事等でお忙しくて 2回もクリニックに行く時間が無い方であっても大腸カメラ検査を受けて頂けるように、当院ではオンライン診療を 活用したスマート大腸カメラ検査を行っております。詳細については下のバナーよりご確認下さい。
大腸カメラ検査でわかる疾患
大腸疾患は、共通した症状を起こすものがほとんどを占めます。こうしたことから、粘膜に特徴的な病変を起こす疾患の鑑別が可能で、組織採取による確定診断ができる大腸カメラ検査が有効です。大腸がんや大腸ポリープ、難病指定されている潰瘍性大腸炎やクローン病といった疾患も、大腸カメラ検査での診断によって適切な治療が可能になります。
大腸がんは罹患率やがんによる死亡原因として男女とも上位を占めていますが、早期発見と適切な治療で根治できる可能性が高いがんです。大腸カメラ検査は、大腸がんや前がん病変の大腸ポリープの発見に有効な唯一の検査であり、自覚症状のない段階で受けることが重要です。検査中に発見した大腸ポリ―プはその場で切除する日帰り手術ができますので、将来の大腸がん予防にもなります。
検査で見つかる病気
大腸カメラ検査を受ける最適なタイミング
大腸がんの発症リスクは50代に上昇しはじめますが、前がん病変のポリープがゆっくり大きくなってがんが発生するため、40歳を超えた時点で症状がない場合も大腸カメラ検査を受けることが効果的な予防につながります。
大腸がんや大腸ポリープになったご家族がいる場合や、習慣的に飲酒・喫煙されている場合は特に早めの検査をおすすめしています。当院では、痛みや苦痛を最小限に抑えた無痛大腸カメラ検査を行っていますので、安心してご相談ください。
厚生労働省の発表したがん統計で、大腸がんは男女合計の罹患数1位になっており、最近の20年間で死亡数が1.5倍に増加していると指摘されています。大腸がんは早期発見と適切な治療で根治可能ですし、前がん病変の大腸ポリープを切除することで予防もできます。それにもかかわらず、死亡者数が増えているのは、大腸がんが早期にはほとんど自覚症状を起こさないため、かなり進行して深刻な状態になってから発見されるケースが多いことが影響していると考えられます。発見するためには、症状のない段階での大腸カメラ検査が不可欠です。
こんな方に大腸カメラ検査をおすすめしています
- 40歳以上で、1度も大腸カメラ検査を受けたことがない
- 潰瘍性大腸炎やクローン病など、慢性的に大腸の炎症を起こす疾患がある
- 大腸がんになった血縁者がいる
- がんになったことがある
- 大腸ポリープを指摘された
大腸カメラ検査の流れ
Step1事前診療と検査ご予約
大腸カメラ検査を受ける場合、前日の食事制限と下剤服用、当日の下剤服用といった前処置が必要になります。便秘しやすい方の場合、検査前に便秘を解消する治療が必要になることもあります。また、検査時に大腸ポリープが発見されて切除する場合もあります。その際には、数日から1週間程度、食事や運動、移動などに関する制限を守っていただく必要があります。
こうしたことから、大腸カメラ検査では、必ず事前に受診していただき、しっかり説明を行った上で検査のご予約をお願いしています。
また普段お薬を飲んでいる場合には、前日や当日朝の休薬や服薬を指示するためにお薬全てを確認する必要もあります。事前診療を受診される際には、お薬手帳か飲んでいるお薬全てをお持ちください。
ネットから大腸カメラ検査の仮予約をされる場合、検査予定日1週間前までの事前受診が必要です。この期間に受診いただけない場合には、検査のご予約が自動的にキャンセルされますのでご注意ください。
また、平日午後の検査をご希望の場合、下記①~⑥にあてはまるようでしたら、ネットから検査予約をしていただき当日朝に診察を行った後、4時間後に腸がきれいになったら大腸カメラ検査を行うことが可能ですので、お気軽にご相談ください。
- 60歳以下の方
- 現在治療中の病気がない方
- 1日1回以上、普通便の排便がある方(ブリストルスケール3~5)※出典元:ユニ・チャーム 排泄ケアナビ
- おなかの症状がない方
- おなかの手術歴がない方
- 下記の検査前の食事制限をお読みいただき実行いただける方
ご注意
血液をサラサラにする抗凝固剤を服用している方へ
事前診療の際に、血液をサラサラにする抗凝固剤を服用されていることを医師に必ずお伝えください。大腸カメラ検査では、組織の採取や大腸ポリープ切除が行われる可能性がありますので、抗凝固剤を服用している場合、出血が止まらなくなる可能性があります。判断がつかない場合には、飲んでいるお薬を全て持っていらしてください。
Step2検査前日まで
検査数日前から
腸に残りやすいキノコや海藻、こんにゃく、繊維の多い野菜の摂取を数日前から控えます。
検査前日
普段、お薬を飲んでいる方は、事前診療の指示に従って休薬・服薬してください。
前日の朝食・昼食・夕食は消化の悪いものを避けてください。
夕食の内容は、素うどんや白粥、豆腐など、消化しやすく色のないものを召し上がってください。具、漬物、薬味、箸休めなども食べないようにしてください。
夕食を21時までにすませたら、検査終了まで絶食です。
水分は、透明で糖分を含まない水や薄いお茶で補給してください。
夕食後に、お渡しした錠剤の下剤を服用してください。
Step3検査当日
自宅で下剤を内服される方は、検査の4時間前になったら、お渡しした下剤2リットルを、何回かに分けて飲んでください。その他事前の説明に従ってください。
院内での下剤を内服される方は、事前にお伝えした時間に来院ください。院内の内服スペースで内服して頂きます。何かあればすぐに院内のスタッフが対応いたしますので、安全に検査の準備をしていただけます。遠方の方、ご高齢の方、はじめて大腸カメラを受けられる方にお勧めしております。
ご注意
鎮静剤を用いた検査を行っていますので、検査後のご自身での車やオートバイ、自転車などの運転はお控えください。ご来院の際にもご家族の送迎か公共交通機関を利用してください。
Step4来院と準備
ご自宅で下剤を飲んでいただく場合、下剤を飲んで腸内がきれいになり、状態が落ち着いたら検査予約時間の少し前までにご来院ください。便の状態を確認し、個室で検査着に着替えていただきます。検査着は当院でご用意しています。
Step5検査
検査室で点滴を行い、ストレッチャーに左側臥位で横になります。鎮静剤などを点滴の側管から注射します。
ウトウト眠っているような状態になったら、肛門に医療用ゼリーを塗って内視鏡スコープを挿入し、検査を行います。大腸カメラ検査の所要時間は10分程度です。ポリープ切除を行った場合は、20分程度で終了します。
Step6検査終了後
ストレッチャーに横になったままの状態で、リカバリールームにお運びします。鎮静剤の効果は手術後すぐに覚めますが、リカバリールームで30分程度、ゆっくりお休みいただいてしっかり覚まします。
Step7ご説明
検査をした医師が、検査画像を使ってわかりやすく大腸の状態をご説明します。気になることがありましたら、なんでもご質問ください。なお、ご自宅でも確認いただけるよう、検査の所見用紙や画像をお渡ししています。
検査中に組織採取やポリープ切除を行った場合には、回収して病理検査を行い、約1週間後に結果が出ますので、再診いただいて検査の結果をお伝えします。
Step8ご帰宅後
飲食は検査終了後の1時間後から可能になります。前日からの食事を制限や下剤服用によって低血糖を起こしやすいので、甘い飲料など糖分を効果的に摂取できるものがおすすめできます。大腸カメラ検査を受けた当日の運動や飲酒は禁止されますし、鎮静剤を用いた検査では運転ができませんが、他には特に制限されることはありません。
ポリープ切除を行った場合は、食事などに制限があります。まず、当日はゼリー・豆腐・プリンといった消化しやすいものを食べるようにしてください。翌日になって腹痛や出血がない場合には、少しずつ消化のよいものから食べはじめてください。個人差はありますが、それ以外の制限としては、ポリープ切除後の1週間の飲酒・激しい運動・排便時のいきみ・腹部の締め付け・出張や旅行といった長距離移動を控えるなどがあります。
検査費用
※スクロールで全体を表示します。
1割負担 | 3割負担 | |
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大腸内視鏡検査 | 約2,500円 | 約7,500円 |
大腸内視鏡+病理検査 | 約3,000円 | 約15,000円 |
大腸ポリープ切除術 | 約10,000円 | 約35,000円 |
※大腸ポリープを切除した場合、加入されている生命保険や医療保険によっては「内視鏡手術」として還付金がおりる可能性があります。保険会社にお確かめください。
文責:金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院
院長 中村文保